「地積測量図」という言葉を耳にしたことはありますか?土地の売買・相続・建築などの手続きで必要になることがある公的な図面です。この記事では、地積測量図の見方・記載内容・取得方法を詳しく解説します。
地積測量図とは?

地積測量図(ちせきそくりょうず)とは、分筆登記・地積更正登記の際に土地家屋調査士が作成し、法務局に提出・備え付けられる公的な測量図です。法務局の登記所に保管されており、誰でも一定の手数料を払って取得できます。
地積測量図が作成されるのは、主に以下の場合です。
- 土地の分筆登記(1つの土地を複数に分けるとき)
- 地積更正登記(登記上の面積を実測面積に合わせるとき)
- 土地表題登記(新たに土地を登記するとき)
なお、分筆・地積更正登記が行われていない土地には地積測量図が存在しません。特に古い土地では存在しないケースが多くあります。
地積測量図の記載内容を詳しく解説

地積測量図には、法務省令に定められた様式に従い、以下の内容が記載されています。
必須記載事項
- 地番・所在:土地の登記上の地番と所在地(住所とは異なる場合がある)
- 地目:宅地・田・畑・山林・雑種地など(登記上の地目)
- 地積(面積):単位は㎡(平方メートル)、小数点以下2桁まで
- 求積表:面積の計算式(三斜法・座標法など)が記載される
- 境界点番号:T-1・T-2・B-1などの記号で境界点を示す
- 座標値:各境界点の座標(平成以降は世界測地系)
- 方位:真北または磁北(必ず確認が必要)
- 縮尺:1/250・1/500などの縮尺比率
- 作成年月日:測量・図面作成の日付
- 作成者:土地家屋調査士の氏名・資格番号
- 隣接地番:隣の土地の地番
記載されていない場合がある項目(古い図面)
- 座標値(昭和の古い図面には記載されていないことが多い)
- 境界杭の種類・材質
- 道路の幅員
地積測量図の見方(図解)


上の図解を参考に、地積測量図の主要な要素の見方を解説します。
境界点の見方
「T-1」「T-2」などの記号は境界点を示します。現地には境界杭(金属製ピンや石杭)が設置されており、地積測量図上の点と対応しています。境界点の座標値が記載されている図面は精度が高く信頼性があります。
求積表の見方
求積表には面積の計算式が記載されています。三斜法(土地を三角形に分割して計算)や座標法(座標値から計算)などがあります。計算結果の合計が「地積」として記載されます。
方位の確認方法
方位記号(矢印)が北を示しています。真北(地図上の北)か磁北(磁石が示す北)かを確認しましょう。現代の図面は真北を基準にするものが多いです。
縮尺の確認方法
「S=1/250」などの縮尺が記載されています。縮尺バー(スケールバー)と合わせて確認することで、実際の距離を計算できます。図面上の1cmが実際に何メートルになるかを把握するために重要です。
取得方法①:法務局の窓口


法務局の窓口での取得は1通600円で、全国の法務局・出張所で申請できます。申請の際は土地の「地番」(住所とは異なる登記上の番号)が必要です。
地番の調べ方
- 固定資産税の納税通知書に記載されている
- 法務局の窓口で住所から調べてもらえる(一部有料)
- ブルーマップ(住宅地図+地番地図)で確認する
- 登記情報提供サービスの地図情報サービスで確認する
取得方法②:登記情報提供サービス(オンライン)

法務省が運営する「登記情報提供サービス」(https://www1.touki.or.jp/)を利用すると、1通362円でオンライン取得できます(窓口取得より安い)。会員登録とクレジットカードが必要ですが、24時間365日取得可能です。
オンライン取得の注意点
- 取得できるのはPDF形式の閲覧用データ(法的効力のある証明書ではない)
- 登記申請などの公的手続きには窓口取得の証明書が必要な場合がある
- 会員登録時に本人確認が必要
参考資料として使用する場合(面積確認・建築設計の参考など)はオンライン取得で十分です。登記申請や法的手続きに使用する場合は窓口取得の証明書を取得してください。
地積測量図と確定測量図・公図との違い

地積測量図と似た書類として「確定測量図」「公図」があります。それぞれの違いを理解しておきましょう。
地積測量図と公図の違い
- 地積測量図:精度の高い測量に基づく図面(登記申請時に提出)
- 公図:土地の区画・位置関係を示す参考図(精度は低い、法務局で450円)
公図はもともと明治時代の地租改正時に作成されたもので、精度は非常に低く現地と大きくずれていることがあります。公図はあくまで「土地の区画の全体像を把握するための参考資料」として使い、実際の面積・形状の確認には地積測量図や確定測量図を使いましょう。
地積測量図と確定測量図の違い
- 地積測量図:法務局に保管される公的記録、隣地の合意不要
- 確定測量図:所有者が保管する私的書類、隣地全員の合意あり
土地売却時は確定測量図が必要です。地積測量図があっても確定測量図の代わりにはなりません。
古い地積測量図の注意点と対処法


地積測量図の精度は作成年代によって大きく異なります。上の図が示すとおり、古い図面ほど精度が低く、現地と一致しない場合があります。
昭和30〜40年代以前の地積測量図の問題点
- 測量機器の精度が低く、面積・形状に誤差が大きい
- 境界点の座標値が記載されていないため、現地復元が困難
- 磁北基準のため、現在の地図との整合が取りにくい
- 隣地との境界が実際とずれている場合がある
古い地積測量図の対処法
古い地積測量図しか存在しない場合、土地売却や分筆を行う際には現地で新たに確定測量を行う必要があります。古い図面は参考資料として使用し、実際の境界は現地で確定測量により確認することが重要です。
平成17年以降に作成された地積測量図は世界測地系の座標値が記載されており、精度が高く信頼性があります。
地積測量図がない土地はどうすればよい?

地積測量図がない土地の場合、目的に応じて以下の対応を検討します。
土地の面積・形状の確認が目的の場合
- 公図(法務局で450円)で大まかな形状を確認する
- 土地家屋調査士に現況測量を依頼する(10〜30万円)
- 不動産登記簿の地積欄の数値を参考にする(精度は保証されない)
土地売却・分筆が目的の場合
地積測量図がない土地を売却・分筆する場合は、確定測量を実施して確定測量図を作成する必要があります。確定測量が完了すると、分筆登記申請とともに新しい地積測量図が法務局に提出・保管されます。
相続登記だけを目的とする場合
令和6年4月から義務化された相続登記のみを行う場合、確定測量・地積測量図は必須ではありません。登記申請に必要な書類(戸籍謄本・遺産分割協議書など)があれば申請できます。
よくある質問(Q&A)

Q:地積測量図は土地の権利を証明する書類ですか?
A:いいえ。地積測量図は土地の「形状・面積・境界点」を示す図面であり、所有権を証明する書類ではありません。所有権の証明は登記事項証明書(謄本)で行います。
Q:地積測量図がない土地は売れますか?
A:売れますが、確定測量を実施する必要があります。地積測量図がなくても確定測量を行えば確定測量図が作成でき、売却可能になります。
Q:地積測量図を紛失しました。再取得できますか?
A:法務局に保管されているものを再取得できます。窓口(600円)またはオンライン(362円)で取得可能です。なお、確定測量図は法務局には保管されていないため、土地家屋調査士事務所に控えがあるか確認が必要です。
Q:地積測量図の面積と実際の面積が違うのはなぜですか?
A:古い地積測量図は精度が低く、実際の面積と異なる場合があります。また、過去に増改築・造成などで形状が変わった場合もあります。正確な面積を確認するには現況測量または確定測量が必要です。
Q:地積測量図はいつ更新されますか?
A:自動的には更新されません。分筆登記・地積更正登記を申請したときに新しい地積測量図が作成・保管されます。土地の形状が変わっても登記申請をしなければ更新されません。
まとめ
地積測量図についての重要なポイントをまとめます。
- ✅ 地積測量図は法務局に保管される公的な測量図(分筆・地積更正登記の際に作成)
- ✅ 窓口600円・オンライン362円で誰でも取得できる
- ✅ 古い図面(昭和30〜40年代以前)は精度が低く注意が必要
- ✅ 土地売却には地積測量図ではなく確定測量図が必要
- ✅ 地積測量図がない土地は法務局の公図や現況測量で概要を把握する
- ✅ 正確な境界確認には土地家屋調査士による確定測量が必要
