土地に関する手続きで「測量が必要です」と言われたとき、どの種類の測量を依頼すればよいか迷ったことはありませんか?実は測量には主に3種類あり、目的・費用・必要な場面がまったく異なります。
この記事では確定測量・現況測量・地積測量図の違いを比較表と図解でわかりやすく解説します。土地の売却・相続・建築計画を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
確定測量とは?隣地の合意を得て境界を確定する測量

確定測量とは、隣地の所有者・道路管理者全員の立会いと合意を得て、土地の境界を法的に確定させる測量です。測量の結果は「境界確認書」として書類化され、現地には境界杭(金属製または石製)が設置されます。
確定測量が終わると確定測量図と境界確認書が作成されます。これらは土地売却時に買主や不動産会社・金融機関へ提出する重要書類です。
確定測量が必要なケース
- 土地・不動産の売却:買主や金融機関が境界明示を求めることが多い
- 担保設定・住宅ローン審査:銀行が境界確認を条件にするケースがある
- 土地の分筆登記:土地を分割するためには境界確定が前提になる
- 隣地との境界トラブル解決:法的根拠のある境界確定が必要な場合
- 相続した土地を売却・贈与する場合:後のトラブル防止として重要
- 建物の建て替え前に境界を明確にしたい場合
確定測量の費用・期間の目安
- 費用:30〜80万円(土地の広さ・形状・隣接地数・地域によって大きく異なる)
- 期間:2〜4か月(隣地所有者・道路管理者との立会い調整が主な時間)
- 依頼先:土地家屋調査士(国家資格者)
確定測量は法的効力が最も高い測量です。費用と時間はかかりますが、完了後は将来にわたる境界トラブルをほぼ防ぐことができ、土地の資産価値向上にも繋がります。土地売却・分筆・担保設定が目的なら避けられない手続きと考えてください。
現況測量とは?隣地合意なしに土地の現状を計測する測量

現況測量(げんきょうそくりょう)とは、隣地との境界確定・合意なしに、現在の土地の形状・面積・高低差などを計測する測量です。あくまで「現在の状況を把握する」ための測量であり、境界の法的確定は行いません。
現況測量が必要なケース
- 建築設計・リフォーム計画:建築士が設計図を作成するために土地の形状を把握したい
- 土地の現状確認・資産把握:相続した土地の概算面積を確認したい
- 農地転用申請:申請書類に現況図面が必要なケース
- 開発・造成計画:土地の地形・高低差・排水状況を把握したい
- 不動産査定の参考資料:概算面積を算出したい
現況測量の費用・期間の目安
- 費用:10〜30万円(土地の広さ・地形の複雑さによる)
- 期間:1〜2週間(隣地との調整が不要なため短期間で完了)
- 依頼先:土地家屋調査士または測量士
現況測量は確定測量と比べて費用が安く、期間も短い点が特徴です。ただし、土地売却・担保設定・境界トラブル解決には使えません。用途を事前に明確にしてから依頼することが重要です。「建築設計にのみ必要」であれば現況測量で十分ですが、将来的に売却も考えているなら最初から確定測量を依頼する方がトータルコストを抑えられることもあります。
地積測量図とは?法務局に備え付けの公的測量図

地積測量図(ちせきそくりょうず)とは、分筆登記・地積更正登記の際に法務局に提出・備え付けられる公的な測量図です。土地家屋調査士が作成し、登記申請とともに法務局に提出されます。誰でも法務局の窓口またはオンラインで取得可能です。
地積測量図に記載されている主な内容
- 土地の地番・所在地・地目(宅地、田、畑、山林など)
- 土地の形状・地積(面積)と求積表(計算式)
- 境界点の座標値(平成以降は世界測地系)
- 方位・縮尺・作成年月日
- 隣接地の地番・道路幅員
- 作成した土地家屋調査士の氏名・資格番号
地積測量図の取得方法と費用
- 法務局の窓口:1通600円(申請書記入→窓口提出→即日または後日取得)
- 登記情報提供サービス(オンライン):1通362円(会員登録が必要)
- 郵送申請:収入印紙600円+返信用封筒が必要
重要な注意点として、すべての土地に地積測量図があるわけではありません。分筆登記・地積更正登記が行われていない土地には存在しません。また古い地積測量図(昭和30〜40年代以前)は精度が低く、実際の境界と一致しないことがあります。地積測量図はあくまで「参考資料」であり、土地の境界を法的に確定するものではない点を理解しておきましょう。
3種類の測量の違いを比較表で解説


上の比較表を参考に、あなたの目的に合った測量を選びましょう。ポイントをまとめると次のとおりです。
目的別クイックガイド
- 🏠 土地を売りたい → 確定測量(境界の法的確定が必要)
- 🏗️ 建物を建てたい・リフォームしたい → 現況測量(形状把握で十分なことが多い)
- 📋 土地の面積を参考確認したい → 地積測量図の取得(600円〜)
- ✂️ 土地を分割(分筆)したい → 確定測量が前提として必要
- 💰 相続した土地を整理したい → 売却・贈与なら確定測量、保有のみなら不要
土地売却に必要な測量:確定測量が事実上の必須手続き

不動産売却において、確定測量は事実上の必須手続きになっています。特に都市部・郊外の住宅地では、確定測量図がないと売却が難しいケースが増えています。
理由①:買主が「どこまでが自分の土地か」を確認したい
購入者の立場から見れば、自分が買う土地がどこまでかを明確にしたいのは当然です。「この杭から向こうは隣の土地」という明確な根拠がなければ、購入をためらう買主が多くいます。
理由②:住宅ローン審査で銀行が境界確認を求める
買主が住宅ローンを利用する場合、金融機関が担保評価として境界確認書・確定測量図の提出を求めることがあります。特に都市部の高額物件では厳格にチェックされる傾向があります。
理由③:将来の契約不適合責任を回避できる
境界未確定のまま売却し、後から境界トラブルが発生した場合、売主が契約不適合責任を問われるリスクがあります。確定測量を済ませておけば、このリスクをほぼゼロにできます。
一般的に、不動産会社への売却依頼から売買契約・引き渡しまでは3〜6か月かかります。確定測量には2〜4か月かかるため、売却を考え始めたらすぐに測量の手配を始めるのが最も効率的です。
相続・建築・農地転用に必要な測量は?

相続した土地の場合
相続した土地をそのまま保有する場合は測量が必須ではありません。しかし、売却・分筆・贈与する場合は確定測量が必要です。令和6年4月から義務化された相続登記とセットで依頼すると効率的です。複数の相続人で土地を正確に分割(遺産分割)する際にも、正確な面積・境界の確定が重要になります。
新築・建て替えの場合
建築確認申請では現況測量図で足りる場合が多いです。建築士が設計図を作成するために土地の形状・面積を把握する目的であれば確定測量は不要です。ただし、境界が不明確な場合や隣地と近接している場合(越境の疑いがある場合)は、建築前に確定測量をしておくと安心です。
農地転用の場合
農地転用申請には現況測量図・地積測量図(または公図)が必要です。転用後に分筆登記を行う場合は確定測量も必要になります。農地転用と土地の分割を同時に行う場合は、確定測量を先に実施しておくとスムーズです。
境界トラブル解決の場合
境界トラブルが発生している場合、確定測量で正確な境界を確定することが解決への近道です。もし隣地所有者の協力が得られない場合は、筆界特定制度(法務局への申請)やADR(境界問題相談センター)の活用も選択肢になります。土地家屋調査士はこれらの手続きの代理人になることができます。
費用と期間の目安


上の図に示したとおり、確定測量の費用は土地の複雑さによって大きく変わります。以下のような条件で費用が高くなります。
- 隣接地の数が多い(立会いが必要な所有者が増える)
- 土地の形状が複雑・面積が広い(測量点が増える)
- 過去の測量記録がない(資料調査に時間がかかる)
- 隣地所有者が遠方・不在・相続が発生している(調整が困難)
- 道路が国有地・市有地で管理者との調整が複雑
費用を抑えるためには、複数の土地家屋調査士に相見積もりを取ることが重要です。また、既存の測量図・公図・登記簿謄本を事前に用意しておくと調査期間が短縮され、コスト削減につながることがあります。
確定測量を依頼してから完了するまでの流れ


最も時間がかかるのは隣地所有者・道路管理者との立会い日程調整です。相手が多忙・遠方・不在の場合や、境界の位置について意見の相違がある場合には、数か月以上かかることもあります。
依頼前に準備しておくと良いもの
- 土地の登記事項証明書(法務局またはオンラインで取得)
- 公図(法務局で取得、1通450円)
- 既存の測量図・境界確認書(あれば)
- 固定資産税納税通知書(地番の確認に使用)
- 隣地所有者の連絡先(わかれば)
まとめ:用途別に最適な測量を選ぼう
3種類の測量の使い分けをあらためてまとめます。
- ✅ 確定測量:土地売却・分筆・担保設定・境界トラブル解決(30〜80万円、2〜4か月)
- ✅ 現況測量:建築設計・農地転用・現状確認(10〜30万円、1〜2週間)
- ✅ 地積測量図:公的記録の確認・参考資料として活用(600円〜で取得)
どの測量が必要か迷ったときは、土地家屋調査士に無料で相談するのが最も確実です。状況を伝えれば、最適な測量方法と費用の見積もりを提案してもらえます。複数の事務所から見積もりを取って比較することも重要です。


























